憧れ

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私は高校卒業と同時に、モデルを目指して上京した。でもその夢は叶わなかった。私より顔もスタイルも良くて、オーラがある子は山ほどいた。このまま続けても芽は出ないだろうと、モデル活動に区切りをつけて故郷に帰ってきた。

「久しぶりに商店街でもいってみようかな。」
ここは私が小さい頃からよく足を運んでいた商店街だ。魚屋の銀さん、八百屋の山さん。商店街にいる人たちはみんな顔見知りだった。またみんなに会いたいなと思っていたが、ほとんどの店はシャッターが閉まっていた。
私は当時の記憶をなぞるように、寂れた商店街を歩いた。すると少し前の方でカシャという音とともに、目の前が光った。
そのまま歩みを進めると、無数のフラッシュが私を包みこんだ。まるでショーのランウェイを歩いているようだった。そう、この商店街は通る人を撮影する、シャッター商店街になっていたのだ。

大好きな思い出の場所が、私をモデルにしてくれた。
青春
公開:20/06/01 20:01
更新:20/06/01 20:55

もち

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