マスクの下で、ときめいて

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 通学路を歩く他の生徒の数が増えるに連れて、私の胸もどきどきしてきた。
 長期間の休校明けで、久しぶりの学校。
 道を歩く、ランドセルを背負った背中が、ひとつ、またひとつと増えていく。次第に、にぎやかな声が大きくなると、そわそわと落ち着かない気持ちになる。
「あ、えみこちゃん! おはよう!」
 声の方を振り返ると、大きく手を振る、まどかちゃんの姿が目に入った。こっちに向かい、駆けて来る。
「えみこちゃん、久しぶり。元気だった」
「うん。まどかちゃんは?」
 白いマスクの上部、まどかちゃんの目がほころぶ。つられて、私の口元も、マスクの下で自然にニッコリとなった。
「あ、けんせいくんだ!」
 そう言って、前方を指さしたまどかちゃんが、声を張り上げた。
 ドキッとしたけど、まどかちゃんの指先を見れない。
 マスクがあって、良かったな。
 だって、私の今の、こんな顔。
 誰にも見られたくないから。
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公開:20/06/02 22:27
更新:20/06/02 22:59

草方良月( 日本、東京 )

はじめまして(^^)   くさかた よしつき と申します。
本が好き、特に小説が好きで、いつしか自分でも書いてみたい……!という思いが募るようになりました。

ほそぼそとですが、noteやTwitter、ブログもやってます♪

(Note)  https://note.com/yoshitsuki_novel
(Twitter)  草方良月@書いてるときは無我夢中 (@kurrosi_ocean)
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