涼しさの聞きくらべ
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川崎大師の風鈴市。
様々な涼しさを楽しめるという催しに赴いた。
ガラス、陶器、金属、石。
全国から集まった三万もの風鈴が、境内に吊り下げられていた。
最初に目を引いたのは海風風鈴。
海をそのまま固めたような琉球ガラス。閉じこめられた泡が日の光に透ける。
音を鳴らすおもりには、珊瑚が結びつけられていた。
軽く短冊を揺らすと、角のとれた丸い響きが潮の香りを運んできた。白い砂の感触が手に残る。
淡雪風鈴、星空風鈴、水彩風鈴、鈴虫風鈴、幻風鈴。
次々と手で風鈴を鳴らし、聞きくらべた。
陶器でできた洞窟風鈴が気にいった。
重みのある潤んだ音が、風鈴の内側で幾重にも反響する。長い余韻が消えるまで、水と苔の匂いに包まれた。
少し休憩しようと市から離れる。
ちょうど、大きな風が吹いた。風鈴の短冊が、後ろで一斉に揺れた。
色とりどりの音の欠片が、
美しいノイズとなって身体の中を吹きぬけていった。
様々な涼しさを楽しめるという催しに赴いた。
ガラス、陶器、金属、石。
全国から集まった三万もの風鈴が、境内に吊り下げられていた。
最初に目を引いたのは海風風鈴。
海をそのまま固めたような琉球ガラス。閉じこめられた泡が日の光に透ける。
音を鳴らすおもりには、珊瑚が結びつけられていた。
軽く短冊を揺らすと、角のとれた丸い響きが潮の香りを運んできた。白い砂の感触が手に残る。
淡雪風鈴、星空風鈴、水彩風鈴、鈴虫風鈴、幻風鈴。
次々と手で風鈴を鳴らし、聞きくらべた。
陶器でできた洞窟風鈴が気にいった。
重みのある潤んだ音が、風鈴の内側で幾重にも反響する。長い余韻が消えるまで、水と苔の匂いに包まれた。
少し休憩しようと市から離れる。
ちょうど、大きな風が吹いた。風鈴の短冊が、後ろで一斉に揺れた。
色とりどりの音の欠片が、
美しいノイズとなって身体の中を吹きぬけていった。
ファンタジー
公開:20/06/02 22:13
夏
風鈴
音
見たい景色を文字で書いています。
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