春に捧ぐ水

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蓮華草やたんぽぽの咲く野原で小さな子供が、
服のあちこちをつづれさせ、四つんばいになっていた。

周りには何の音もしない。けども子供は何かに真剣に耳を傾けていた。

はて、あれほど熱心に何を聴いてるのやら

立ち上がって、子供はきょろきょろと辺りを見回した。
小川を見つけると顔を近づけ、透明できれいな部分を探す。

子供は大事そうに水を手にすくって、
こぼしながらも水を高く掲げる。

ちょうど一吹きの風が、
子供の手から、
さらうように水を散らしていった。

はて、いま風の姿が見えたような

子供は手の中の水がなくなったのを見ると、家に帰っていった。
ファンタジー
公開:20/06/02 22:12

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