逆襲の遺志

地球人に似た外見でありながら、地球より遥かに優れた文明を持つ宇宙人が来た。少なくとも和平の使者ではなかった。見たこともない武器から、見たこともない火力で威嚇してきたからだ。地球人は抵抗すらできなかった。宇宙人は淡々と地球を支配下に置いた。そしてこう言った。
「祖先の無念をようやく晴らせた」
地球人は他の星を侵略したことはない。が、はっとした。もしやあの事件—。

宇宙人が来る少し前、ある研究所のグループ数十人とその家族らが忽然と姿を消した。遺書はなかったが以下の書き置きが残されていた。

タイムマシンの研究など無駄だ。いつまで経っても出来やしない。そんなご批判を我々は多数受けた。批判は日毎に強みを増し、我々ばかりか家族への誹謗中傷にまで及んだ。もう限界だ。我々は地球から姿を消す。完成したタイムマシンで、ある星の遠い過去へ行く。いつの日か、我々の遺志を継いだ子孫が地球へ復讐に必ず来るだろう。