"ただいま"の声を待つ

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「おはよう私。今日の予定は覚えてる?」
目の前の私は本日も憂鬱そう。陰鬱とした空気が見ているだけでこちら側まで伝わってきそうだ。
「ほらほら、顔を洗ったんなら化粧して!今日はアプリコットのリップなんてどうかしら?気分が明るくなるんじゃない?」
めいっぱい声を張り上げれば、重い重い手を動かして慣れた手つきで顔が作られていく。くすんだ肌はワントーン明るいベースでカバー、ひと目でわかる大きな隈もコンシーラーですぐに消え去る。お気に入りのリップをひと塗りすれば、本日も完成!上出来だ私。
「今日も上出来よ。派手すぎず地味すぎず完璧なバランス!
大丈夫、家に帰れば私がいるわ。ほんの少し猫を被ればいいだけよ。本当の私はここにいる。だから…「笑って、私」」
鏡の向こうの私が笑う。ここまでくればもう大丈夫。私が強いのは私が一番良く知ってる。届かないとは知ってるけれど、それでも言わせて?
"いってらっしゃい”
ファンタジー
公開:20/06/02 19:50

mono

思いつくまま、気の向くまま。
自分の頭の中から文字がこぼれ落ちてしまわないように、キーボードを叩いて整理整頓するのです。

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