はるばる先に

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遥か昔、大空を竜が駆ける時代があった。
当時の人々ははるばる先に臨む竜を神と崇め、竜と共に暮らす日々を送っていた。
恵みの雨や稲穂を起こす稲妻。それは竜の御業として崇拝された。
全てを飲み込む嵐や台風。それは竜の厄災として畏怖された。
人と竜は良好な関係にあった。
それが崩れたのは人が愚かにも竜を排除し、大空も我が物としようとしたからである。
武器を積んだ飛行機械が空を舞い、竜の背を追う。幼き竜が銃弾の餌食となった。
竜は人から逃れる為、より高みへと昇った。人も高みへと手を伸ばし、ついには宇宙にまで足を延ばした。
それでも竜は見つからない。しかし、竜より面白い物を見つけた。
宇宙には自分達が住まう星以外にも多くの惑星があると知った。
いつしか人は竜より惑星を求め、さらなる高みへと目指すようになった。
それでも人は心の根底では竜の存在を探し続ける。
人が常に「理由」を求めるのはそういう事だ。
ファンタジー
公開:20/06/02 18:46

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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