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古来、髪の毛は人の頭を守るために欠かせなかった。獣に襲われても大吹雪に見舞われても、髪がクッションや保温の役割を果たし、人の脳は進化を遂げてきた。
文明開化とともに、髪はその本来の存在意義を失った。帽子にヘルメット。そもそも自然界の外敵が身の回りから消えた。男子を中心に髪は頭から撤退を始めた。
だがしかし。人は不思議な行動に出た。
科学の粋を結集して薬を開発し、髪が薄くなるのを防ごうとし始めたのだ。防ぎきれなければ高品質なカツラをまとう。
なぜ? 髪の毛たちは考えた。「オレたち、やっぱり必要なのかも」
撤退をやめ、髪はステップを踏み始めた。踊るようにもじゃもじゃと生い茂り、あちこちへ伸び、やりたい放題に。やがて大きな繭のように人を覆い、日々の暮らしを妨げるようになった。
あるがままを受け入れて。人は見かけじゃないんだよ。
自らを飾る自らの一部に、そう教えられる皮肉。
文明開化とともに、髪はその本来の存在意義を失った。帽子にヘルメット。そもそも自然界の外敵が身の回りから消えた。男子を中心に髪は頭から撤退を始めた。
だがしかし。人は不思議な行動に出た。
科学の粋を結集して薬を開発し、髪が薄くなるのを防ごうとし始めたのだ。防ぎきれなければ高品質なカツラをまとう。
なぜ? 髪の毛たちは考えた。「オレたち、やっぱり必要なのかも」
撤退をやめ、髪はステップを踏み始めた。踊るようにもじゃもじゃと生い茂り、あちこちへ伸び、やりたい放題に。やがて大きな繭のように人を覆い、日々の暮らしを妨げるようになった。
あるがままを受け入れて。人は見かけじゃないんだよ。
自らを飾る自らの一部に、そう教えられる皮肉。
その他
公開:20/06/02 17:26
40代半ばの会社員。家族は妻、中3息子、小6娘。つらつらと文章をつづるのが好きです。読んでいただけたら嬉しいです。
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