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ぼくは手拭い様がこわい。
手拭い様は、先週お姉ちゃんが発見した。でもその時はまだ、お祭りのときに町内の人みんなが毎年もらう、ただの手拭いだった。
手拭いには白い桜の花びら模様がたくさんついていて、真ん中に大きく「祭」って書いてある。色は紫と緑と桃色の三種類で、ママはこの手拭を雑巾やなんかに使っていたんだけど、最近ではマスクを作ってくれて、このマスクを見た町内の人もその手拭いでマスクを作るようになった。でも、その手拭いマスクはべつにこわくない。
こわいのは手拭い様だ。
手拭い様は二階の猫テントに現れる。手拭いはみんな箪笥の中だし、猫が手拭いで遊ぶところなんて誰も見たことはないけれど毎朝きちんと畳まれた緑色の手拭いが猫テントの真ん中に置いてある。
お姉ちゃんと「不思議だね」って話してたらママが、
「手拭い様よ」
って言った。
それからぼくは、手拭い様がこわくてしかたがないんだ。
手拭い様は、先週お姉ちゃんが発見した。でもその時はまだ、お祭りのときに町内の人みんなが毎年もらう、ただの手拭いだった。
手拭いには白い桜の花びら模様がたくさんついていて、真ん中に大きく「祭」って書いてある。色は紫と緑と桃色の三種類で、ママはこの手拭を雑巾やなんかに使っていたんだけど、最近ではマスクを作ってくれて、このマスクを見た町内の人もその手拭いでマスクを作るようになった。でも、その手拭いマスクはべつにこわくない。
こわいのは手拭い様だ。
手拭い様は二階の猫テントに現れる。手拭いはみんな箪笥の中だし、猫が手拭いで遊ぶところなんて誰も見たことはないけれど毎朝きちんと畳まれた緑色の手拭いが猫テントの真ん中に置いてある。
お姉ちゃんと「不思議だね」って話してたらママが、
「手拭い様よ」
って言った。
それからぼくは、手拭い様がこわくてしかたがないんだ。
その他
公開:20/06/01 09:46
こわいわけ
星新一さんのようにかっちりと書く素養に乏しく、
川端康成さんの「掌の小説」のように書ければと思うので、
ショートショートとはズレているのかもしれないです。
オチ、どんでん返し、胸のすく結末。はありません。
400文字、おつきあいいただければ幸いです。
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