クローゼットの森

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あの本を読んでからだ
時々違う世界に引き込まれていく
普段そんなに好きぢゃないウォークインクローゼット
誰かが呼んでいる
扉を開いてみると
擬態した虫達がネクタイや服にまぎれこんでいる
声を失って座り込むと

虹色の背中が引き出しの隙間に入っていくのが見えた
そっと覗きこんでみると
小さな植物達が種をまいていた
植物達は静かにささやき
小さな森になっていた

そして虫達がうっとりと種から芽が出るのを待っているのだった

どんな植物がはえるのだろうか
どれくらいか時が経って
一輪の花が咲いた 甘く魅惑的な香りがあたり一面に広がった
その花の美しいことといったら
一瞬時を忘れてしまうほど美しい花だった

咲き終わるとルビー色に光る種が涙のように土にこぼれ落ちて
それを大切にポケットにしまうと

いつの間にか 自分の部屋

夢だったのかもしれない

でもまだポケットに感触が残っている気がした
ファンタジー
公開:20/06/01 00:54
更新:20/06/01 13:44

ミルコ

挿絵はコロナで展示ができなかったチビ太さんにご協力して頂きました

ものづくりをしてます

よろしくお願いします
 

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