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夏、山奥に住む祖父の家に遊びに行くと私は空に話しかける。
高い山の上から語り掛けると空は答えてくれるのだ。
低い場所からでは空は答えてくれない。だって空は耳が遠いんだから。
山の上で大声で叫んでも「えっ?何か言った?」と聞き返してくる。非常に面倒な相手だ。
そんな空は話相手に向かない。相談事をしても空口から出るのは的外れな辛口アドバイスばかりだ。
空目は私を見ているようで見ていない。その目は節穴か!って、言いたくなる。
怒った空は私に向けて空手チョップを繰り出してくる。しかしよく見えていないのか、その手はやっぱり空を切る。
その姿が面白くて、やっぱり私は空に話しかける。
それに空は話を聞いてくれないわけではない。むしろ、小さな呟きにこそ答えてくれる。
吸い込まれる呟きを空は受け止め、心を痛め涙を流す。
それが雨となり大地を濡らすのだ。
空も生きている。だから、優しくする必要があるんだ。
ファンタジー
公開:20/06/01 18:44

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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