慈善事業じゃないの

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(ああ、また来たみたいね)

深夜の裏通り。後ろから近づいてきた男にいきなり抱き着かれて口をふさがれ、耳元でささやかれた。

「金を出せ。おとなしくしていれば命は取らない。ただし大声を出したら殺す!」

ナイフを突きつける男にわたしは静かにうなずいた。そんなことしなくてもお金は渡してあげるのに。

「はい、これ、300万円の小切手。返済期間は半年くらいでいいかしら。あと利息はあなたの魂ね」

「ふざけんなっ、てめえ何を言ってやがる!」

「別にこちらは正常よ。嫌だと言うならこうするだけ」

そう言って私は暗闇に向かって合図をした。

刹那、暗視ゴーグルを付けた完全武装の一団が銃を構えて現れる。

「私がうなずいた時点で契約は成立しているの。しっかり返しなさいね。ほら、小切手を受け取りなさい」

そう。わたしは闇の貸金業者。望めば言い値だけ貸してあげる。ちゃんと利子を払えばね。
ホラー
公開:20/06/01 14:40
343 理不尽な契約 彼女の正体は? オオカミの自信作

武蔵の国のオオカミ( ここ、ツイッタランド、タイッツー )

武蔵の国の辺境に棲息する“ひとでなし”のオオカミです。

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