小さな扉
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祖母の家には小さな扉がある。
廊下の壁の低い位置にあるそれは、祖母がよく「夢を見せてくれる」と私に説明してくれた。
好奇心に駆られた私は子供の時に何度かその扉を開けたことがある。
一度目に扉の先にあったのはお菓子の山だった。二度目は玩具。どれも当時、私が好きだった物だった。けれどいくら手を伸ばしても届かない。
中学生に上がると祖母の家に行く機会が少なくなった。高校に上がるとその機会は更に減り、扉のことなど忘れてしまっていた。
志望大学に合格後、私が祖母の家に行くと、廊下の壁に幼い頃に見たあの扉があった。
膝をついて、更に小さくなったように見える扉を開く。そこには鍵がひとつだけ置いてあった。
手を伸ばしてそれを掴む。それから手を引っこ抜いて、私は無意識にその鍵で扉を閉めた。気づけば扉は消えていた。
居間に戻った私に、祖母は嬉しそうに言った。
「ちゃんと掴めたみたいだね」
廊下の壁の低い位置にあるそれは、祖母がよく「夢を見せてくれる」と私に説明してくれた。
好奇心に駆られた私は子供の時に何度かその扉を開けたことがある。
一度目に扉の先にあったのはお菓子の山だった。二度目は玩具。どれも当時、私が好きだった物だった。けれどいくら手を伸ばしても届かない。
中学生に上がると祖母の家に行く機会が少なくなった。高校に上がるとその機会は更に減り、扉のことなど忘れてしまっていた。
志望大学に合格後、私が祖母の家に行くと、廊下の壁に幼い頃に見たあの扉があった。
膝をついて、更に小さくなったように見える扉を開く。そこには鍵がひとつだけ置いてあった。
手を伸ばしてそれを掴む。それから手を引っこ抜いて、私は無意識にその鍵で扉を閉めた。気づけば扉は消えていた。
居間に戻った私に、祖母は嬉しそうに言った。
「ちゃんと掴めたみたいだね」
その他
公開:20/05/30 22:10
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