最高の無能
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ある会社に仕事のできない男性社員がいた。一言で表せば、無能であった。
「毎回毎回、君は同じことを何度言わせるのだ」
今日も部長からお説教。しかも社員たちの目の前で。人によってはパワハラと受け取れる言葉もあった。並みの精神では退職に追い込まれるだろう。
だがその男性社員が会社を辞める気配は全くなかった。
時は経ち、部長と社員一人ひとりの個別面談の日が来た。賞与の査定が言い渡される。
社員たちの中には良くない査定の者もあった。しかし、あいつがいる。あの出来損ないよりは良いはずだ。彼らは、そう溜飲を下げた。
いよいよその出来損ないの番だ。彼は部長室のドアを静かに開けた。
部長の顔は穏やかだった。
「ご苦労だった。確認のため何度も言うが、組織には君のようなスケープゴート役が不可欠だ。君は完璧に仕事をした。最高の査定を与えよう。今後も、よろしく頼む」
部長と男はいたずらっぽい顔で笑いあった。
「毎回毎回、君は同じことを何度言わせるのだ」
今日も部長からお説教。しかも社員たちの目の前で。人によってはパワハラと受け取れる言葉もあった。並みの精神では退職に追い込まれるだろう。
だがその男性社員が会社を辞める気配は全くなかった。
時は経ち、部長と社員一人ひとりの個別面談の日が来た。賞与の査定が言い渡される。
社員たちの中には良くない査定の者もあった。しかし、あいつがいる。あの出来損ないよりは良いはずだ。彼らは、そう溜飲を下げた。
いよいよその出来損ないの番だ。彼は部長室のドアを静かに開けた。
部長の顔は穏やかだった。
「ご苦労だった。確認のため何度も言うが、組織には君のようなスケープゴート役が不可欠だ。君は完璧に仕事をした。最高の査定を与えよう。今後も、よろしく頼む」
部長と男はいたずらっぽい顔で笑いあった。
その他
公開:20/05/30 21:26
面白かった、と読後に思っていただけるようなお話を目指していきます。
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