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ソノミは誕生日が近ずくと家には毎年、多くの男達から薔薇の花束が届く。大半は深紅の薔薇。たまに奇をてらって違う色のものが。そして熱いメッセージの付いたものや薔薇の中に別のプレゼントが仕込まれたものなど、様々だ。彼女の母親はそれを毎年楽しげに受け取る。けれどソノミは知らん顔だ
「贈ってもらえるうちが花よ~」母親のお決まりのセリフだ。
誕生日の週末、ソノミを助手席に乗せた赤いポルシェが低いエキゾーストノイズを響かせて、彼女の家の前に止まった。運転席に男。彼は少し誇らしげな調子でいう。
「キミも、商社マン夫人だね」
彼女は、少しの間、ポルシェのヘッドライトが照らし出す風景を見つめていた。
「あたしの人生なんだから、決めつけないでよっ」
ソノミは、そう言ってダッシュボードを平手で思い切り叩いた。
その日を最後に、赤いポルシェが彼女の家の前に止まることは無かった。
「贈ってもらえるうちが花よ~」母親のお決まりのセリフだ。
誕生日の週末、ソノミを助手席に乗せた赤いポルシェが低いエキゾーストノイズを響かせて、彼女の家の前に止まった。運転席に男。彼は少し誇らしげな調子でいう。
「キミも、商社マン夫人だね」
彼女は、少しの間、ポルシェのヘッドライトが照らし出す風景を見つめていた。
「あたしの人生なんだから、決めつけないでよっ」
ソノミは、そう言ってダッシュボードを平手で思い切り叩いた。
その日を最後に、赤いポルシェが彼女の家の前に止まることは無かった。
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公開:20/05/30 17:19
読んでいただきありがとうございます。(・ω・)/
ここに投稿する以外にも、自分のブログに同時掲載しているときがあります。
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