読像術入門

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ある会議のこと。私は資料の地図をぼんやりと眺めていた。地図の模様が人の顔に見えてきたのだった。会議のあとで同席していた隣の課の課長が話しかけてきた。
別室で課長は「これは何に見える?」
数枚の写真を広げた。顕微鏡写真や木目模様などだった。
「森の風景ですか。これは群衆」
私が思いつくまま言うと
「君は見込みありだ」
課長は読像術のことを説明した。
いろんな図像、画像から中身ではなく像が喚起するものを読み取る技術。それを磨く場がある。実利を目指すものではない。読像を愉しむ同好の士の集まり。課長は私に素質ありと思ったらしい。読像術教室に誘ってくれた。私は新しい愉しみを期待した。
そんなある日、課長にセクハラの噂が立った。エレベータで女子社員の衣服をじっと見つめていたという。迷彩柄の服だった。私は経緯を理解した。課長を弁護したい気持ちでいっぱいだった。どう説明すればみんなを説得できるだろうか。
その他
公開:20/05/31 11:14

たちばな( 東京 )

2020年2月24日から参加しています。
タイトル画像では自作のペインティング、ドローイング、コラージュなどをみていただいています。
よろしくお願いします。

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