ほっぺたにぽつん

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「パパさん、あめがふってきたよ」
息子のほっぺたに、今日いちばんさいしょの雨がぽつんと落ちてきたらしい。
「ぷっくりしてるから、いちばんさいしょにぽつんてするんだよ」

ぷにぷにしたくなって、雨のことなんてしらんぷりしてぷにぷにしているうちに、雨はすぐに本番を迎えた。

息子の手をとり、走り出そうとする。
傘はない。家はもうすぐそこだ。
そんなときにかぎって、手荷物は重い。

息子はどうやら、走りたくないようだ。
でも、雨にぬれるのは嫌みたいだ。
少しだけイライラする。

「じゃあだっこは」
「それがいい」

息子は、背中にのるとほっぺたを肩にのせてくる。ちょっとだけ口が空いていて、寝てしまうと肩はよだれにまみれる。
でも不思議と、足は軽くなる。

「しんかんせんでかえるよ」
へんじはないけど、ほっぺたがぷにっとわらってるのを肩に感じた。各駅停車に変更します。
「(おやすみ)」
その他
公開:20/05/31 08:56
更新:20/09/22 15:18

きろひの、えう

ぼそぼそと創作話を書いています。

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