勘電池

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国立心理技術研究所は、勘の鋭さを電気に変換して貯める「勘電池」を開発した。
勘電池は、乾電池と見た目も使い方も同じで、日本のようなエネルギー資源に乏しく省エネを目指している国で重宝された。
勘電池を量産化させたいメーカーでは、閃き、インスピレーション、霊感に至るまで第六感の強い人たちが続々とスカウトされた。
ある日、勘電池の製造工場で火災が発生した。原因は、夫の浮気を鋭い直感で見抜いた妻だった。あまりにもエネルギーが強すぎて貯める側の電池が高温となり発火したためだ。
女性の勘の鋭さが、夫の浮気だけでなく勘電池の欠陥も露呈させ、夫への愛情だけでなく熱を帯びた勘電池ブームも一気に冷ましてしまった。
だが、製造工場の火災事故以降も地道に勘電池の改良を重ねていたメーカーは、とうとうあらゆる勘にも対応するハイパワーな大容量スーパー勘電池の量産化に成功した。
これぞ怪我の功名ともいえる技術革新だった。
SF
公開:20/05/31 07:21
心理 技術 電気 電池 乾電池 エネルギー 省エネ メーカー 第六感

山田衆三( 東京 )

1975年奈良県生駒市生まれ。奈良市で育ち、大学時代は京都(御所の近く)、大学院時代は湘南(海ではなく山側)で過ごす。
田丸雅智先生の作品に衝撃を受け、通勤中や休日などで創作活動に励む。
『ショートショートガーデン』で初めて自作「ネコカー」(2019年06月13日)を発表。
読んでくださった方の琴線に触れるような作品を紡ぎだすことが目標。

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