ウツボの呪い

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「俺…ウツボに呪われているんだ…」
部活の夏合宿。重々しい空気で放たれた一言に俺達は大爆笑した。
ウツボの呪い?何だそれ?
「笑うなっ!」
激怒したそいつは重々しく語り出す。
「ウツボはうつほ。空っぽの空間から出てくる。頼むから、この部屋に空っぽのものを置かないでくれ」
そう言われるも本当にウツボが出てくるのなら見てみたい。だから俺はこっそり空箱を一つ用意して寝る事にした。

夜中、何かが床を這う音に俺は目を覚ます。
スマホのライトを床に向けると、空き箱から巨大なウツボが這い出ていた。
俺は思わず悲鳴を上げた。ウツボは俺の悲鳴に驚き、空箱へと戻って行く。
「だから言っただろう…」
全身にウツボに噛まれた痕を残すそいつは明りを点けて言った。
「俺がいる限り、空っぽの空間からウツボは這い出てくる。見てみろ」
同室の仲間達の頭が割れていた。
「何も考えていない空っぽの頭の中からも出て来たんだ」
ホラー
公開:20/05/29 19:21
「空」と書いて「うつほ」と読む

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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