はるばる先に

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仕事を終え、家に帰ると熱い思い出に肩まで浸る。
青春時代が懐かしい。あの頃は疲れ知らずでずっと頑張っていられた。今ではあの情熱が羨ましい。
目を閉じて思い出にひたっているとそのまま眠ってしまっていた。
思い出の中、意識がどんどん沈んでいく。さっきまでの僕が遠くにいる。
今の僕を見るとその体は小さく、何の不安も心配もなかった子供の頃に戻っていた。
そういえば子供の頃は大人になるなんて、はるばる先に訪れるものだとばかり思っていた。それが今、思い返せばあっという間だ。
ふと思い出す。そう言えばウチの子供の手もこんなに小さかったなぁ…今、あの子の手はどれぐらいの大きさになっているだろう?
妻の手を思い出す。綺麗だった手は日頃の家事で傷になっていないだろうか?
僕は急いで思い出から浮上する。
そうだ。大人になった僕は家族の為にその手を繋がなきゃいけないんだ。
思い出から上がると僕は家族を抱きしめた。
公開:20/05/29 18:48

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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