いろのあるせかい

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わたしのめにうつるのは、しろとくろのせかいでした。
いろをしらないのでこれがわたしのふつうでした。ママはわたしをびょういんにつれてきました。いろんなけんさをしたけどどこにもいじょうはありませんでした。
ろうかにでると、ふしぎなものがみえました。てんじょうからかーてんのようにひかりがさしこんでいます。そのひかりはひとりのおんなのこにふりそそいでいました。とてもきれいでした。わたしはハッとしました。
これがいろというものなんだ。まわりはいつもどおりしろくろです。
「ねえ、あなただけどうしていろがあるの?」
「あなたに、あげたかったから」
そのしゅんかんおんなのこはつよくかがやき、しろくろだったせかいにいろがあふれてひろがっていきました。
「キレイ……」
そのときママのなみだをおもいだしました。
わたしがうまれるまえにしんでしまったおねえちゃんが、わたしといっしょににじをみたがっていたんだって。
その他
公開:20/05/29 13:46
更新:20/05/29 20:11

深月凛音( 埼玉県 )

みづき りんねと読みます。
創作が大好きな主婦です。ショートショート小説を書くのがとても楽しくて好き。色々なジャンルの作品を書いていきたいなと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。
猫ショートショート入選『ミルク』
渋谷ショートショートコンテスト優秀賞『ハチ公、旅に出る』
ベルモニーPresentsショートショートコンテスト[節目]入賞『私の母は晴れ女』
ベルモニーPresentsショートショートコンテスト[縁]ベルモニー賞『縁屋―ゆかりや―』

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