殻のない生たまご

アズマ署のヒキガエル刑事の憩いの場所。
昼休みになると、アズマ保育園まで足をのばす。
春に、入園したばかりのカエルの赤ちゃん。
お昼寝は、園内をぐるりと廻る赤ちゃん専用の＜流れる遊水路＞。
ヒキガエル刑事は、赤ちゃんのお昼寝の顔に、心の底まで癒されている。

「これ、そっちはダメです」
保育士の声から逃げる足の生えた年長さん。
バシャッ!バシャッ!
年長さんが、赤ちゃんが昼寝をしている遊水路を、奇声を上げて駆け抜ける。
ザバァーン!?ジャバァーン!?
黒ずくめのスーツ姿のヒキガエル刑事の足元に、遊水路から飛び出した３匹の赤ちゃん・・・。
「キャーッ!!」
保育士の顔が、みるみる引きつる。

ヒキガエル刑事は、陸に飛び出した３匹の赤ちゃんを、
殻のない生たまごを、掬うようにつぎつぎ救う。
そして、大きな水かきでやさしく包み、そのまま一緒に流れながら、遊水路に寝てしまいました。