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路地裏に入ると、不釣り合いにキレイな券売機が立っている。
嘘発券機。クラスの友人に教えて貰った。
嘘発券機から出てきた紙に書いてある嘘をつけば、お金が貰えるらしい。
友人は、辞めようと思えばすぐ辞めれると言っていたし大丈夫だろう。
ボタンは千円から十万円までだ。

早速、俺は千円のボタンを押した。
何々…?「外国人に嘘の道を教える。」
そんな簡単なことでいいのか。

目の前の機械と出会って、半年の月日が経った。
完全に嘘を付くことに抵抗が無くなった俺は、ここらの詐欺グループの一員になっていた。
嘘発券機自体、詐欺師を育てるためのプロジェクトの一貫だったのかもしれない。
もう元には戻れないが、どうでもいい。グループで活動した方がよっぽど儲かるしな。
久々に来た俺は、今まで押したことのなかった十万円のボタンを押す。
「すぐ辞めれるからと、この嘘発券機を教える。」
そんな簡単なことでいいのか。
ミステリー・推理
公開:20/05/28 18:06

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