督促状

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ダイヤルを回しながら、俺は回想していた。

「ふざけんなああ!!」
俺は屑箱を思いっきり蹴り上げた。それが宙を舞って畳に着地し、奴は「ひいっ」と怯えた。
「すみませんすみませんすみませんすみませんすみません」
奴はまたも泣き落としにかかった。ふざけんなって。もうそんな顔は見慣れてんだよ。契約書の氏名欄に違う文字があるだけで、それ以外は一緒だな。返済できない客はみんな、こうすりゃ済むと思ってやがる。
「世の中こんなですから、派遣切りに遭ってしまって…」
「ンなこた百も承知なんだよ!!」
奴の言い草に、俺は怒りを爆発させてしまった。
急に部屋が静かになったが、下を見ると、そこに奴はいた。
俺に蹴られて柱に頭をぶつけたらしく、もう死んでいた。

郵便受けの扉が開き、1枚の紙が落ちた。
取って見ると、なぜか奴の名前が書いてあり、その下にこう書かれていた。
「上記の者の命を速やかに返済して下さい」
ホラー
公開:20/05/28 17:37
更新:20/05/28 17:44

北瓜 彪

ショートショート講座(2019年7〜9月期)にも参加
しました。
皆様宜しくお願いしますm(_ _)m

※アルファポリス
https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/664452356
でも活動しています。SS講座で提出した作品「ファンフラワーに関する見聞」「大自然」もそちらで公開しております。
 

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