真冬の線香花火

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12月。こんな真冬に花火をすると呼び出されるのはいい迷惑だ。「遅いぞ!」Aは昔からすぐに怒る。Bはいつもの如く笑っていた。幼馴染の僕達は、昔からずっと3人でつるんでいた。去年別々の高校に進学をしてからも、月に一度は集まる仲だ。しかし今までこんな季節外れなことをした覚えはない。疑問はありつつも、しつこく聞くとAが面倒だしなぁ。次の日は焼き芋、その次の日は枯れ木で花見、そのまた次の日は…。
そして13日目。今日はまた花火だそうだ。パチパチと散る火花を眺めながらAが口を開く。「B、明日から入院するんだよ。持病の再発。今回は長くなるって。1年は会えなくなる。」なんだそれ?そんなこと聞いてない。
「なんで俺には言ってくれなかったんだよ…」声が震えた。
「お前は昔から一番泣き虫だからだよ。」そういってBは僕の濡れる頬を親指でぬぐった。彼は、いつものように笑っていた。線香花火がぽとっと落ちた。
青春
公開:20/05/27 22:08

みずのかおり

こんにちは。
1歳児を子育て中の20代主婦です。
絵本を出版することが夢です。
週に1〜2つ投稿できたらと思っています。
どうぞお気軽にコメント下さい。
ご感想お待ちしております。
(画像はアマビエに扮した娘を描きました。
はやくこの事態が収束しますように…)
 

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