その寝姿は、、、

20
12

立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花。古来より詠い継がれる美女の形容詞である。
花の容色になぞらえてとも、立ち居振る舞いや、眺める姿態を指すものとも、咲く季節で選んだとも云われるが、近年、ここに新たな議論が加わった。
曰く、ならば寝姿は如何なりや?
世に花は数限りなく、どれをして美女の褥に相応しいか、話の種も尽きぬと見える。
コノハナサクヤ(昨夜)の山桜。夜咲き匂う宵待草。文目も分かぬ花あやめ、月下美人も捨て難い。
子を持つ母も良いものと、撫子を推す声あれば、美は梔子(朽ちなし)と熱弁する者もあり。爛熟の蘭、添う美で薔薇、しなだれる藤に散り伏す紅葉、落花の椿も寝起きの朝顔も、皆それぞれに美しい。
男どもでは夜も埒も明かぬ、当の女性はこれいかに?
とある美女へお伺いを立てたところ、この様な答えを下さった。
女の寝間をあれこれ論ずるなど、無粋の極み。
曰く、芙蓉(不要)なり。との事である。
青春
公開:20/05/27 22:01
皆様はいかが思われますか?

創樹( 富山 )

創樹(もとき)と申します。
前職は花屋。現在は葬祭系の生花事業部に勤務の傍ら、物書き(もどき)をしております。
小石 創樹(こいわ もとき)名にて、AmazonでKindle書籍を出版中。ご興味をお持ちの方、よろしければ覗いてやって下さい。
https://amzn.to/32W8iRO

ベリーショートショートマガジン『ベリショーズ』
Light・Vol.6~Vol.12執筆参加
他、note/monogatary/小説家になろう など投稿サイトに出没。

【直近の受賞歴】
第一回小鳥書房文学賞入賞。2022年6月アンソロジー出版
愛媛新聞超ショートショートコンテスト2022 特別賞受賞

いつも本当にありがとうございます!

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容