くとぅるふ

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〜これはクトゥルフ神話を知らない人間が想像するクトゥルフ神話である。〜



 くとぅるふは烏賊と蛸の物の怪である。世が乱れるとき、やおら海からあらわれるのだ。村の漁師、次郎吉は漁の網を砂浜で編んでいた。月の明るい晩である。凪いだ海からざばっ、と水音がした。

「くとぅるふ……くとぅるふ……」

 来た、と次郎吉は思った。祖父から聞いたとおりの鳴き声である。

「出たな物の怪……」

 次郎吉は鎌を握りしめた。くとぅるふはずるずると這いながら近づいてくる。

「わしのじさまも漁師じゃった。だがお前のせいで腕を失って漁ができんなった。ついでに呪いで赤髪になった。じさまの仇、ここでとるべし」

 なんやかんやで次郎吉は死闘の末、くとぅるふを倒した。

 なんやかんやでくとぅるふのゲソは焼かれ、イカ飯とかにされて酒のアテになった。めでたしめでたし。
その他
公開:20/05/27 19:20

千億アルマ( Tokyo, Japan )

Senoku ALMA
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