はるばる先に

0
2

「鏡よ鏡。この世で一番美しいのは誰?」
女王の質問に魔法の鏡は何も答えない。
「…ちょっと、何か言ったらどうなの?」
『では言わせてもらいます女王様。鏡の私はその人のあるがままを映し出す事が仕事。美しさのものさしは持ち合わせておりません。故にその質問には答えられないのです』
「じゃあ、誰が答えられるって言うの?」
『魔法のものさしです。彼なら女王様の美しさを測る事が出来ましょう』
女王は魔法のものさしを探した。

「ものさしよものさし。私の美しさを測って頂戴」
魔法のものさしは女王に応えるべく、どんどん長く伸びていく。遠く遠く、はるばる先に延びて行くものさしはついに根元がぽきりと折れてしまった。
『女王様の美しさは私では計り知れない程でございます』
魔法のものさしの答えに女王は満足した。
『大丈夫か、魔法のものさし?』
『魔法の鏡よ…俺は女王のあまりの恐ろしさに折れて縮こまってしまったよ』
ファンタジー
公開:20/05/26 18:39

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

コメントはありません

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容