頼りがいのあるギター

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素敵な景色を見ながら、唄い人は歌う。
ギターを弾きながら、自作の曲と詞に魂をのせて。
情景と人の心のタイミングが合った時、奇跡は起きる。
「素敵な歌ですね。」女性は言った。
決して上手くはなかった。
しゃがれた声とテンポの悪さ。
彼はただ、歌う事が好きでしょうがなかった。
デビューだとか、金儲けだとか、どうでも良かった。
歌う事に意味があるのだと感じていた。
自分が好きでしょうがない事。
感情を込めて言葉で伝える。
ただ、そうしていたかった。

自分の心に届いていた言葉は自分を癒やし、きっと他の人も、癒やされるのだろう。
傷つく事の多いこの社会で言葉をいかに分かりやすく伝えるのかが、人の心を癒し、愛ある社会になるのだと彼は思い歌い続けた。
女性は涙した。
心癒やされ、ずっとその歌声に耳をかたむけていた。
その他
公開:20/05/26 19:39

ポエマータカノ( 横浜 )

愛を言葉で伝える事が使命だと感じている。
42歳のおじさんです。
カラオケ、料理、笑わすこと、読書、哲学、物思いにふけること大好きです。

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