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8月13日、僕らの目の前に現れて、入道雲の先に行ってしまったあの子。最初はふわりと浮かんで、すぐに首をどんなに傾けても見えないぐらいの高さにまで飛んでいってしまった夏の日の女の子。最高にかわいい、あの子をもう一度みたい。僕らは女の子の言った「私を会いに来て」の言葉が忘れられない。神話の頃の人が塔を建築して天上まで行こうとしたみたいに、僕らはこのために開発した特別な螺旋階段を一歩一歩登っていく。空に近づいていく。未だ誰もたどり着けてはいない。一定時間経つと入道雲は信じられない量の雨を降らして、僕らを地上に戻す。社会からは疎まれている。働きもしないで、未だに空に焦がれている、厄介な奴ら。彼女を諦めた奴らは、そんなふうにいう。僕たちは彼女が雲の上にいることを信じている。そのためにぼくたちは夏になるたびにこの階段を回す。螺旋階段を回る。空へ螺旋を描きながら近づいていく。
SF
公開:20/07/24 17:24

スイングラオス

小説を書く練習をしています。
 

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