中学一年生

　筆箱からシャーペンを取り出すと、やっと中学生になれたんだと思った。どうして小学生は鉛筆しか使っちゃいけないんだろう？　
　この硬くて細い芯がいいよね。こうやって小さい文字も書けるし。
　う、窓からの光が眩しい。紙の照り返しがキツくてやっぱシャーペンじゃ見ずらいかも。でも、みんなもシャーペン使ってるし。なんで平気なの？
　とりあえず、今日は黒のインクペンでノートとろうかな。あ、でもペンだと消しゴムで消せないじゃん。それはヤバいかも。やり直しがきかないって超イヤなんだけど。
　でも、なんだろう、この感じ。
　もしかして、大人になるってそういうことなのかな…。
　ちょっとビクビクしながら、二度と消すことのできない黒の線を思い切って真っ白なノートに書き入れてみる。ちょっと線が歪んでぎこちないけど、自分なりに頑張った感は出てる。
　うん、こんなもんよ。
　こうして私の中学校生活一日目が始まった。