俺が書いた作品の話
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今から何十年も前の話だ。
当時小説家を目指していた俺は誰からも評価される事なく、友人と居酒屋で愚痴る日々だった。
そんな酒の席で友人が言ったんだ。「江戸川乱歩と太宰治の世界観を同時に書いてみろ」って。
酒に酔っていた俺は紙ナプキンに物語を書き始めた。
江戸川乱歩のように奇妙で、太宰治の様に退廃的な作品を小一時間で書き上げた。
友人は「これは酷い文章だ!」と笑いながら酷評した。
そんな事は分かっている。俺も途中から何を書いているか分からなくなった。
「これは素晴らしい作品だ!私に売ってくれませんか!」
隣の席にいた男が突然言ってきた。
「百万円で売ってやるよ」
冗談でそう言うと男はピン札の束を俺に寄越した。一瞬で酔いが覚めたよ…
あの時の作品が今、『黙示録の書』として悪魔崇拝者共にバカ売れらしい。
俺が作者だと名乗り出たら連中に神と崇められるだろうがやめておこう。
神は殺されるのがオチだ。
当時小説家を目指していた俺は誰からも評価される事なく、友人と居酒屋で愚痴る日々だった。
そんな酒の席で友人が言ったんだ。「江戸川乱歩と太宰治の世界観を同時に書いてみろ」って。
酒に酔っていた俺は紙ナプキンに物語を書き始めた。
江戸川乱歩のように奇妙で、太宰治の様に退廃的な作品を小一時間で書き上げた。
友人は「これは酷い文章だ!」と笑いながら酷評した。
そんな事は分かっている。俺も途中から何を書いているか分からなくなった。
「これは素晴らしい作品だ!私に売ってくれませんか!」
隣の席にいた男が突然言ってきた。
「百万円で売ってやるよ」
冗談でそう言うと男はピン札の束を俺に寄越した。一瞬で酔いが覚めたよ…
あの時の作品が今、『黙示録の書』として悪魔崇拝者共にバカ売れらしい。
俺が作者だと名乗り出たら連中に神と崇められるだろうがやめておこう。
神は殺されるのがオチだ。
ミステリー・推理
公開:20/07/25 19:32
元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。
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