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今日も雨だ。だから傘をさして家を出た。
隣家の紫陽花が今年も綺麗。ときおり、庭に佇む旦那さんと目が合って微笑みを交したものだ。花に向ける眼差しは優しくて、それをそのまま私にも向けてくれる。そういえば旦那さんは、綺麗な青が保てるよう手を掛けていると話してくれていたけれど、今年はまばらな赤が目につく。
花の向こう側、黒い傘をさした奥さんと目が合った。足元に転がるスコップが気になったけど、会釈だけして足早に通り過ぎる。
震える手でスマホをとりだし、ひと月ほど前から既読がつかなくなっていた旦那さんとのLINEを、ひらく。私の送った感謝の言葉と、次の逢瀬の日取りに、いつの間にか既読がついていた。
そして目の前で、新しいメッセージが着信する。
いってらっしゃい。
振り返らずにバス停まで走った。傘は意味をなさなくて、しみこんだ雨に体温を奪われたからだろう、私はガタガタと震えていた。
隣家の紫陽花が今年も綺麗。ときおり、庭に佇む旦那さんと目が合って微笑みを交したものだ。花に向ける眼差しは優しくて、それをそのまま私にも向けてくれる。そういえば旦那さんは、綺麗な青が保てるよう手を掛けていると話してくれていたけれど、今年はまばらな赤が目につく。
花の向こう側、黒い傘をさした奥さんと目が合った。足元に転がるスコップが気になったけど、会釈だけして足早に通り過ぎる。
震える手でスマホをとりだし、ひと月ほど前から既読がつかなくなっていた旦那さんとのLINEを、ひらく。私の送った感謝の言葉と、次の逢瀬の日取りに、いつの間にか既読がついていた。
そして目の前で、新しいメッセージが着信する。
いってらっしゃい。
振り返らずにバス停まで走った。傘は意味をなさなくて、しみこんだ雨に体温を奪われたからだろう、私はガタガタと震えていた。
ホラー
公開:20/07/25 17:51
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