オリンピアの円盤

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「よーし、もっと遠くへ投げてやるぞ!」
アキレスはその筋骨隆々の上腕を引き絞ると、きゅんきゅんと肉体を回転させ、手にした銀色に光る円盤を前方に投げた。
円盤はぐんぐんと空を駆けて行った。
しばらくすると、日輪の馬車に乗ったアポロンが円盤を拾って戻って来た。
「あー、ロドス島の手前の海に落ちてたぞ」
「くそっ!」
どうやら記録更新といかなかったようだ。
わーーーっ!
獅子の毛皮を身に纏い、アキレスよりもさらにビルドアップされた肉体の持ち主、ヘラクレスの登場だ。
オリンピアスタジアムは大歓声に揺れた。
「ふん」
受け取った円盤をぎゅうと握りしめ、肉体をぎゅんぎゅんと回転させると、えいやという掛け声とともに空に投げ出した。
うおーーーっ!
円盤は天を破り、そのまま大気圏の外へ消えて行った。

というのが、円盤に残っていた全記録です。
我々の科学力では、あの星の侵略は諦めた方が賢明でしょう──。
SF
公開:20/07/25 17:07
更新:20/07/25 17:13
空想競技

渋谷獏( 東京 )

(੭∴ω∴)੭ 渋谷獏(しぶたに・ばく)と申します。 小説・漫画・写真・画集などを制作し、Amazonで電子書籍として販売しています。ショートショートマガジン『ベリショーズ』の編集とデザイン担当。
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