ダイヤモンド

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「なにかお探しですか」
盗みに入ると、どこからか男が現れた。
「金目の物をよこせ」
「ああ、でしたらこれなんか」
「ほう、ダイヤモンドか。いいのか」
「ええ。いつでも手に入りますし。ささ、はやくお逃げを。妻が起きると大変です」
男に促され、家をあとにした。
「ああ、これですよ。探しました」
すぐに換金所へ持っていくと、店員が開口一番そう言った。
「でも、おかしいですね。これはあなたが持って来てくださったのに」
「私が、ですか」
「はい。もうお金はお渡ししましたよ。ですので、すみませんが……」
「はあ……」
そう言われ、私はしぶしぶ店をあとにした。
タイムマシンを使ったこの計画は、失敗だったな。
SF
公開:20/07/23 19:42

ふじのん

歓びは朝とともにやってくる。

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