真夜中のコンビニ

残業が長引いてしまった私は行きつけのコンビニへと走る。
「あの！チキン南蛮弁当まだ作れますか！？」
店に入るなり息も絶え絶えの私に店員のおばさんは「ええ、大丈夫ですよ」と微笑んでくれた。
ホッとした私は財布からマイナンバンカードを取り出し、改めて注文した。
「今夜は見られるといいですね」
おばさんが言った。
「今夜は見られると思います」
私は答え、店を出た。

家に帰り、真っ暗な部屋でお弁当の蓋を開ける。
ふわり、とそれが飛び出した。
オーロラだ。色鮮やかなオーロラが天井付近を漂っている。
「やっと見れた…」
私はその美しさに感動していた。
行きつけのコンビニは真夜中に作るチキン南蛮弁当に特製のオーロラソースを使用する。
それは暗所でお弁当を開くと時折オーロラが出てくるという神秘的な代物だ。
その魅力に憑りつかれた私はマイナンバンカードを作ってまで注文するオーロラーと呼ばれるファンである。