師の教え

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「それはお前のおごりだ。」
そう言って師はビールを煽った。
居酒屋で師と向かい合っている。
正式な師弟関係があるわけではない。
とりわけ悩める時にお言葉をもらいにくる。
周りから見れば、同年代の飲み友達にしか見えないだろう。
もちろん師に対しても友人という体で会っている。
心の中で勝手に師と呼んでいるだけだ。

「いいか、全部大きいってことは全部小さいってことだ。」
耳がピクリと反応する。どうでもいい言葉が続いていたが
師の酔いに連れ立ってお言葉は唐突にやってくる。
「なんで苦手な事を克服しようとするの?それより得意な事をとことん伸ばしたほうが絶対にいい。
同じくらいの大きさのスキルが並んだって変にバランス取れてる風だとつまらないんだよ。」
悔しいが絶妙に響く言葉を持ってくる。
この気付きが悩みを乗り越える力になるのも事実だ。

お言葉は唐突に言葉に戻った。
「今日はお前のおごりだ。」
その他
公開:20/07/23 09:34

吉田図工( 日本 )

まずは自分が楽しむこと。

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