ほんの気持ち

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「好きです!僕と付き合って下さい」
 男が女に告白をした。女は微笑んで応える。
「では好意証明金10万円と交際請求金20万円を支払って」

 20XX年、人々の言葉から信頼が失われて久しい。信頼を得るため、気持ちの表明に証明金が課されることとなる。これにより口先のコミュニケーションは絶滅。みな真実を話すようになった。

 男は黙って言われた額を女に差し出す。お金を受け取った女は納得したように頷いた。
「ありがとう、でもあなたとは付き合えません、ごめんなさい」
 女は財布から2千円を抜き出して男に手渡した。
「感謝証明金と謝意証明金よ」

 数年後、女は他の男と結婚して子を産んだ。生まれたばかりの我が子を抱き、女は微笑んだ。
「なんてかわいいのかしら!産まれてくれて、ありがとう」
 女に抱かれた赤ん坊が泣いている。
「おぎゃあ、おぎゃあ(容姿評価証明金と出生祝い金にミルクを500mlだ!)」
ファンタジー
公開:20/07/23 02:11
更新:20/07/23 06:46

森下慎吾

文章を書くのは楽しいけど、難しい!
読んだ人が楽しんでもらえるよう、がんばります。

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