月曜日はいつも

「火曜日の夜はカレーに限る」

彼が決めた我が家のルール。

目を輝かせた彼の顔が目に浮かぶ。

彼が好きなカレーとスモーキーな匂いが混ざる。

小皿に掬い味見。バターを下敷きにスパイスのバランスも良い。

「昨日から寝かせておいたの」
得意げに言ってもいい出来だ。

水曜はサカナ
木曜はヤサイ
金曜はお肉
土曜は自由
日曜は外食も

そして、月曜日はいつも
ざく切りで変な形の野菜
具沢山のパスタを彼が作った。
月曜日はいつも私のご褒美だ。

ーーガッシャーン

音を立てて小皿が地面に叩きつけられ、回想は消えてゆく。

飛び散ったカレーを片付け、黒い服を着ていてよかった。なんて思う辺り、まだすこしは余裕があるのかな。

「君はたまにおっちょこちょいだよな」

写真の彼はそう笑っているようだ。

たまねぎを切ったわけでもないのに
涙が出た。

拭う手の指先には苦味のある匂いがまだすこし煙る。