夏のともだち

2
3

「そこ急に深くなるから危ないよ」
妹と川で遊んでいると、青い帽子とマスク姿の男の子が言った。
夏休み、お爺ちゃん家が退屈で、僕はその変わった男の子の出現を喜んだ。
名前はアオ。たちまち仲良くなった。
「アオはいろんな事を知ってるねぇ」
妹は教えてもらって作った笹舟を流して笑った。

村のいろいろな場所に連れてってもらった。
僕らが1番気に入ったのは、裏山の神社から一気に滑り降りる獣道で、なんでここの砂はこんなに滑るんだろと言いながら何度も滑り降りた。ズボンに穴が開いて僕は怒られた。次から米袋を使え、とお爺ちゃん。

最初に出会った川原で遊んでいると急にアオが倒れた。熱中症かもと水筒をアオに渡した。
アオは帽子を脱ぐと水筒のお茶を頭にかけた。頭の皿に。
「今だったら顔を隠していても大丈夫だから、つい」
マスクを外すと嘴が現れた。
アオは服を脱ぎ捨てた。その緑の体は翻り川に吸い込まれていった。
ファンタジー
公開:20/07/24 11:53
河童忌なので

工房ナカムラ( ちほう )

ボケ防止にショートショートを作ります

第二回 「尾道てのひら怪談」で大賞と佳作いただきました。嬉!驚!という感じです。
よければサイトに公開されたので読んでやってください。

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容