叶食屋

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張り紙に興味をそそられ暖簾をくぐった。
内装に変わった所は無い。メニューも定食屋のソレだった。
一部を除いて。
張り紙と同じ文言がメニューにもあった。
『ちょっとした無理、聞きます。』
注文を取りに来た店員に尋ねる。
「コレはどういう事ですか?メニューに無くても対応してもらえるとか?」
店員は聞かれ慣れた口調で答える。
「店主はある程度無理を叶える事ができるんです。」
飲み込めない表情を見て店員は補足した。
「例えば…あの餃子やフライドチキンを創業者の味で食べたい。とか
『最後の晩餐』に描かれている料理を食べてみたいというのもありました。」
腑に落ちない。店員は続けた。
「もちろん普通に注文もできますので。」「いや、それなら…」
ある注文をしてみた。断られると思ったら通ってしまった。

料理が運ばれて来た。
一口食べて理解を超えた感動があった。
生前母が作ってくれたあのカレーライスだった。
SF
公開:20/07/24 11:21
更新:20/07/24 12:12

吉田図工( 日本 )

まずは自分が楽しむこと。

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