眺めていたい折り紙

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母とは上手くいかなかった。 
自分の型にはめ込み。
娘は母に自由を奪われる。
そんな歳月を送っていた。
「はやく良くなってね。」
娘は願う。
闘病生活が続く毎日。
千羽鶴を折る毎日。
願いを込めて、前向きになってと。
人生に疲れ、体を壊した母の為に折る。
乳癌だった。
娘の母への愛は届くのか。
その願いは届かなかった。
母は娘の自由を奪っていた。
束縛し、自分のおもい通りに育てる事が、娘の為だと思っていた。
娘は母からの愛を憎しみとして、受け取っていた。
そんな間違って受け取った愛は母を救う愛とは別の形となって現れた。 
愛も知らず育った娘は1羽、1羽に救いたい想いではなく憎しみを込めて折っていた。
泣きながら、あの日々を忘れまいとして。

折り紙を眺めながら、娘は安堵する。
憎しみや悲しみの概念は母と共になくなった。
その他
公開:20/07/24 00:43

ポエマータカノ( 横浜 )

愛を言葉で伝える事が使命だと感じている。
42歳のおじさんです。
カラオケ、料理、笑わすこと、読書、哲学、物思いにふけること大好きです。

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