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深夜、寝る前に戸締り確認をするのがお父さんの習慣だった。

日が変わるころ、ガチャガチャとドアを引いて鍵がかかっているかどうかを確認する。
その音を、すぐ脇の自分の部屋からこっそり聞くのが僕の楽しみだった。

ドアが開かないのを確認し、「よし」とうなずくお父さんを想像する。
お父さんが「一家の安全を守るヒーロー」みたいに思えて少し誇らしかった。

中学生にもなると、一家の構成員たる自覚も芽生え、父に代わって僕が戸締り確認をするようになった。
ある日、いつものようにガチャガチャとドアを引き、しっかり閉まっているのを確認していると、お父さんが様子を見に来た。
「お父さんを見習って戸締り確認をしてるんだ」と教えた。

「私はそんな事はしていない。ちゃんと見れば鍵が締まっている事くらいわかるだろう。」とお父さんは答えた。
ホラー
公開:20/07/21 23:43
更新:20/07/21 23:51

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