ビー玉

あれは私が小学生の頃でした。
結膜炎になった私は目薬を肌見離さず持っていたんです。
それがある日何を思ったのか、私はビー玉に目薬をさしました。
普通なら滴が表面に落ちてすべるだけですが、不思議なことにポチャンと中に入っていったのです。
驚いた私は急いでビー玉を手に取りましたが、触ってみてもただの硬いガラスでした。
もう一滴たらしてみると、やはり中に入っていきました。
それから私は暇があればビー玉に目薬をさすようになりました。
目薬の滴を落とすとビー玉の中に波紋が現れて、とても美しかった。
時間も忘れて夢中になっていましたが、程なくして終わりを告げました。
いつものように目薬をさしてビー玉を眺めていると、一瞬だけギョロリと目玉が現れたのです。
私は怖くなってしまって、外に投げ捨ててしまいました。
それからは一切のガラスを見ることができなくなりました。
いつまた目玉が現れるか……。