赤く光るシロ

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ホタルイカ漁は、まだ朝日が昇らない早朝に行う。
いつも通り漁をしていたある日、男は、青白く光る群れの中に唯一赤く光る何かに気づいた。
男は、他の船員たちにバレないように、こっそりそれを網ですくった。
よく見ると、ホタルイカならぬホタルタコだった。
珍しく思った男は、そのホタルタコをバケツに隠し入れ、持って帰った。

市場で競りにかける。

水族館に高値で売りつける。

光るたこ焼き屋さんを開業する。

男は家に帰り、ホタルタコを利用したあらゆる金稼ぎを思案したが、
ふと、あれこれ考えていた隙にホタルタコがバケツから逃げ出していたことに気づく。

その後探しても見つからなかった。

男は悲しみに暮れた。その日はなんだか食欲が湧かなかった。

感情は動物にまで伝染する。飼い猫のシロも、その日は食欲がなかった。

いや。

まさかと思い、男は電気を消してみた。
シロのお腹は赤い光を放っていた。
その他
公開:20/07/22 15:38

日常のソクラテス( 神奈川 )

空想競技コンテスト銅メダル『ピンポンダッシュ選手権』
空想競技コンテスト入賞  『ダメ人間コンテスト』
ベルモニー Presents ショートショートコンテスト入賞 『縁茶』
X (twitter):望月滋斗 (@mochizuki_short)

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