声が聞こえない

　私は小説を書くのが趣味だ。特に短編小説が得意で、よく投稿サイトに投稿している。
　書くのも慣れはじめ、気分転換に音楽を聞きながら書くようにもなった。
　なぜこんなに話を量産できるのか。物語が私に話しかけてくるからだ。
　実際に聞こえるわけではない。だが、一つのアイデアを思いつくと、そこから声が聞こえるように物語が出来上がっていく。あとは、文字にするだけだ。

　ところが、最近声が聞こえなくなった。物語が思い浮かばないのだ。
　完全なスランプ。聞こえるのは音楽ばかり。どうしてこんなことに……

「あ、イヤホンつけているからか」

　音楽に夢中になりすぎて話を考えるのを忘れていた。周囲を見渡せば、話のネタはいくらでもある。今日もそこから声を拾い上げ、物語を作るのだ。

　あなたは心にイヤホンを付けていませんか？　物語の声は聞こえていますか？