夜の天井

パパに連れられ、ひっそりとした山小屋まで夜逃げをしてきて何日か経つ。
なのに今夜も、怖いおじさん達に追いかけられる夢を見て目が覚めた。それは、ここに住み着いた猫が天井裏を走り回る音のせいなんだ。
窓を開けると、梅の花の匂いが部屋まで届く。空を見上げれば星ひとつ出ていない。
僕はなんだか寂しくなり、去年の自由研究で作った、段ボールプラネタリウムを取り出した。その名の通り材料は段ボール箱とアルミホイル。だけどほら、ライトを点ければ天井に星空が生まれる。
上手く作れたもんだ、まるで本物みたい…。遥か先まで続いているようだ…もしまた逃げる事になったら今度は…。
僕は立ち上がると、脚立を部屋の隅っこに立てて上り、天井板を外した。
頭を入れてみると真っ暗で何も見えない。当たり前だ、ただの天井裏なんだから…でも、ひょっとしたら…。
目を細めて見ると、遠くに小さく光る点々が見えた。あの形は確か山猫座…。