夏色のアスファルト

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 クーラーの利いた部屋から外に出ると、異様な熱気に包まれた。忘れていたが、もう既に7月、夏真っ盛りだ。
 太陽はこれでもかというほどまぶしく辺りを照らし、それを受けて周囲は夏の色に染まる。アスファルトの道路の先は、蜃気楼のようにゆらゆら揺れいくつも逃げ水が見える。

「夏の色」がどんな色かを説明するのは難しい。色盲の人に「赤とはどんな色か」を説明するくらいに難しいのではないだろうか。
 ただ明るいだけではなく、すべてが色の濃いパステルカラーに染まったような、そんな感じだ。

 じりじりと、太陽が私を焦がしていく。私もずっとこの場所に立っていれば、いつしか夏の色に染まっていくのだろう。最も、私の場合は徐々に色が黒くなり、夏色の景色とは別の色になってしまうのだろうが。

 夏色のアスファルトが、私の未来を示した。それは、ゆらゆらとゆれる蜃気楼。
青春
公開:20/07/21 11:00

フィーカス

短編掌編をよく書いています。
時々何かに入賞したりします(2回)。
わけのわからない世界観を生み出したいです。

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