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「ねぇ、なんか暑くない?」
「クーラーが効いてないのかな。交換するか」
うだるような暑苦しい部屋の中で交わされる会話に、クーラーは冷や汗をかいた。ついに自分も明日から無職か。
翌日、ゴミの中に埋もれていたクーラーに、声をかけた男がいた。
「お前さんかい?クーラーなのに、暑いってやつぁ」
「はぁ、まあ…」
「いいねえいいねえ。買った。ウチで働く気はないか?」
「えっ?雇ってくださるんで…?」
男は満面の笑みでクーラーをひょいと抱えた。
「当然さね。さ、今日からさっそく働いてもらうよ」
「あー、超気持ちいい」
「この温度、絶妙だよなぁ」
「暑っつ。俺ちょっと水風呂行ってくるわ」
サウナの中で、あのクーラーが働いていた。サウナ客はみな汗だくで満足そうだ。番台ではクーラーを持ち帰った男が、客を捌いている。
(汗水たらして働くっていいなぁ)
クーラーは誇らしげに、熱い息を吐き出すのだった。
「クーラーが効いてないのかな。交換するか」
うだるような暑苦しい部屋の中で交わされる会話に、クーラーは冷や汗をかいた。ついに自分も明日から無職か。
翌日、ゴミの中に埋もれていたクーラーに、声をかけた男がいた。
「お前さんかい?クーラーなのに、暑いってやつぁ」
「はぁ、まあ…」
「いいねえいいねえ。買った。ウチで働く気はないか?」
「えっ?雇ってくださるんで…?」
男は満面の笑みでクーラーをひょいと抱えた。
「当然さね。さ、今日からさっそく働いてもらうよ」
「あー、超気持ちいい」
「この温度、絶妙だよなぁ」
「暑っつ。俺ちょっと水風呂行ってくるわ」
サウナの中で、あのクーラーが働いていた。サウナ客はみな汗だくで満足そうだ。番台ではクーラーを持ち帰った男が、客を捌いている。
(汗水たらして働くっていいなぁ)
クーラーは誇らしげに、熱い息を吐き出すのだった。
その他
公開:20/07/18 11:43
スクー
汗だくクーラー
簓井 陸(ささらい りく)
気まぐれに文字を書いています。
ファンタジックな文章が好き。
400字の世界を旅したい、そういう人間の形をしたなにかです。
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