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雨上がりの夜。マンホールの蓋からゴウゴウという音が響く上り坂の途中。広場からはみ出した聖柳の枝が、歩道をやわらかな放物線で塞いでいて、その枝の直下にだけ、ペチャペチャと盛んに水飛沫が上がっています。わたしは飛沫を避けようと車道に下りました。その背後へ車のヘッドライトとクラクション! わたしは歩道に飛び退いて車をやり過ごし、その一瞬の明るさの中で、歩道の飛沫の正体を知ることができたのでした。
それは、枝から歩道へ滑り落ちてはジャンプして枝に戻っていく無数の小さな蛙たちだったのです。
もちろん、先ほどまで降ってた雨の雫もしきりと垂れてはくるのですが、それと共に、緑色の小指の先程もない蛙もペチャペチャと落ちてきて、落ちた蛙はすぐさまジャンプし、落ちてくる雫へ次々に飛び移りながら、枝に戻っていくのです。
それは必死というよりもユーモラスに思え、わたしはしばらくその蛙の飛沫を眺めていました。
それは、枝から歩道へ滑り落ちてはジャンプして枝に戻っていく無数の小さな蛙たちだったのです。
もちろん、先ほどまで降ってた雨の雫もしきりと垂れてはくるのですが、それと共に、緑色の小指の先程もない蛙もペチャペチャと落ちてきて、落ちた蛙はすぐさまジャンプし、落ちてくる雫へ次々に飛び移りながら、枝に戻っていくのです。
それは必死というよりもユーモラスに思え、わたしはしばらくその蛙の飛沫を眺めていました。
ファンタジー
公開:20/07/18 10:16
宇祖田都子の話
星新一さんのようにかっちりと書く素養に乏しく、
川端康成さんの「掌の小説」のように書ければと思うので、
ショートショートとはズレているのかもしれないです。
オチ、どんでん返し、胸のすく結末。はありません。
400文字、おつきあいいただければ幸いです。
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